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2018年12月11日 (火)

インドと柔道 インドの視覚障害者柔道 インド独立と柔道

先日、次のようなニュースがありました。

視覚障害のインド人女性、護身のため柔道に挑戦 今では王者に
https://www.cnn.co.jp/world/35124724.html

ジャンキ・ゴウド(23)さんは、インド中部マディヤプラデシュ州の在住で、そこは女性に対する犯罪でレイプがまん延している地域であり、そのことは視覚障害を持つゴウドさんにとって長年の脅威でした。
国際非政府組織「サイトセイバーズ」の州責任者、ジャヤシュリー・クマルさんは「この地域の障害を抱えた女性の間では、同伴者なしで家の外を移動すると虐待や襲撃を受けかねないと心配する声が大きかったため、護身術や柔道を取り入れた」と話します。
サイトセイバーズが2014年に柔道や護身術の訓練を施すプロジェクトを開始して以来、ゴウドさんも含め200人の女性がその恩恵を受けてきました。
ゴウドさんは、柔道が人生を変えてくれたと話します。

ゴウドさんは5歳の時にはしかにかかり、視覚を失い自信を喪失していましたが、今日では、ゴウドさんはプロジェクトの広告塔的な存在になっているそうです。若い柔道家の面倒を見ており、国際大会にも出場し、視覚障害者の柔道で全国チャンピオンに輝いています。昨年には初めて飛行機に乗り、ウズベキスタンで行われた国際視覚障害者スポーツ連盟の大会で銅メダルを獲得しています。

「柔道を始めたのは護身が唯一の目的」「プログラムの主な狙いもそこにあった。始めた当初は柔道の護身術に関してそれほど知識を持っていなかったが、インストラクターが目の不自由な私たちを励ましてくれた」(ゴウドさん)

このプログラムで人生が一変したのはゴウドさん一人だけではなく、これは主に、柔道の練習を取り入れたプログラム責任者のクマルさんの手腕によるところが大きいそうです。

プロジェクトは現在、隣接するラジャスタン州など他の地域にも拡大中だ。クマルさんは全国規模に広がっていく可能性もあると期待を寄せています。


インドの柔道の歴史に関しては、『日本格闘技おもしろ史話』(加来耕三 毎日新聞社 1993年)にも記載がありました。

P244「おもしろコラム⑮ インド独立と柔道」という内容です。
それによると、インドはイギリスから独立を勝ち取るため、日本と戦火を交えましたが、国民感情はむしろ親日的ですらあったそうです。
日本の戦争犯罪を追求した「極東軍事裁判」においても、インド代表のパル判事は、無罪論を主張して、終始、日本のために尽力してくれたそうです。

このインドの親日感情の源泉を、柔道に求める人は、国の内外に多いそうです。

1904年(明治37年)、講道館が一人のインド人を受け容れて以来、インドと柔道の関わりは細々と続いていましたが、1929年(昭和4年)、詩聖タゴールが日本を訪問した折に、大倉信彦(のちの東洋大学長)を通じて、講道館の館長・嘉納治五郎のもとを訪れたそうです。

「自分の主催するタゴール大学に、柔道教師を派遣して欲しい」
と申し出があって、親密度は一気に増したそうです。

ボンベイには戸井真之介がいましたが、それ以来、講道館が高垣信造五段(当時)を送り込んだことによって、インドにおける柔道の普及は飛躍的に伸びたそうです。

「柔道は肉体的効果を挙げ得るのみならず、精神的効果を期待し得られるものと考えられる。(中略)柔道の秘訣は、力を以って争うものではなく、敵の力に柔従すること、即ち“柔軟”に依って敵の力を利用することに在る」

インド各地の新聞に柔道が評論されると、またたく間に修行人口は十万人を突破したそうです。

「インドの青年達は、日本は仏教という偉大なものを吾々から伝えられたが、吾々はその仏教にも匹敵する柔道を教えられることになったと喜んでいる。そして柔道の精神を認識した彼らのこそ、将来の自国を背負って立つことになるだろう」

高垣信造はインタビュアーに胸をはりましたが、実際に戦後のインドを見ていると、柔道の精神が多少なりとも幸いしたかと、思われるところが少なくないそうです。

以上、『日本格闘技おもしろ史話』(加来耕三 毎日新聞社 1993年)P.244「インド独立と柔道」からの引用です。

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