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2019年3月21日 (木)

猪木アリ状態の元ネタ

1976年6月26日に行われたアントニオ猪木モハメド・アリの試合において、アントニオ猪木が取った戦法の、仰向けに寝転がって脚側を相手に向け、立ち技主体の相手に対して寝技への引き込みと脚による攻撃を主体としたスタイルについて
猪木・アリ状態と呼ぶことが多いです。
アントニオ猪木はこのスタイルの元ネタ、アイディア元として雑誌のインタビューに対して次のように答えています。
「ゴング格闘技 2014年5月号」
‐「あれ(猪木vsアリ状態)は前もって想定していたことなんでしょうか?」
猪木「いえ、全然。昔は『柔拳』(明治初期から昭和初期にあった柔道vsボクシングの興行)というのがあったでしょう?あれで柔道家はすぐに寝るんです。柔道家はパンチを受けないため、ボクサーは相手に組まれないためにはどうするか、それぞれ考えて動くとそうなります。ルールは決まってないわけですから」
猪木アリ状態に関しては、アントニオ猪木本人の証言にあるように、歴史的に実際に行われていた柔道家対ボクサーの柔拳興行における柔道家の戦法の一つが元ネタです。
この戦法は、創作ものにおいても、富田常雄の原作原本の『姿三四郎』の小説(1942年)においても見られる戦法です。
三四郎がボクサー相手に興行の場で戦うことになった際に使用し、寝技から立ち技の投げ技の流れを何度か決めて、最後は山嵐で決めています。
黒澤明による映画の『續姿三四郎』でも同じようなストーリーで、三四郎対ボクサーの展開にはなるのですが、この戦法は描写されることはなく三四郎が立ち関節技を狙った戦法に変えられています。
黒澤明にとってはリアリティの感じられないものだったのでしょうか。
その後も『姿三四郎』は、何度も映画化されドラマ化されアニメ化され漫画化されと、時代を超えメディアを超えて作品化されておりこの「猪木アリ状態」を描写している作品も見られます。
柔拳興行から、姿三四郎へ、そして猪木・アリの試合へ、というのがこの戦法・猪木アリ状態の歴史的な元ネタということになります。

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